田舎暮らし初心者のための生活費シミュレーション
田舎暮らしに憧れて移住を検討している方の多くが最初に気になるのが「実際の生活費はどうなるのか?」という点でしょう。
都市部での生活に比べて安くなると言われているのは本当なのか、どの程度の資金準備が必要なのか、具体的な数字を知りたいと思うのは当然です。
この記事では、実際の移住体験者のデータや家計簿を基に、田舎暮らしの生活費をシミュレーション。移住前に知っておくべき重要なポイントをお伝えします。

田舎暮らしの生活費は本当に安いのか?
結論:総合的には2/3〜1/2程度に削減可能
実際の移住者のデータを調査した結果、田舎暮らしの生活費は都市部の2/3〜1/2程度に削減できることが分かりました。しかし、これは単純に「物価が安いから」ではなく、「ライフスタイルの変化」による影響が大きいことも明らかになっています。
【地方移住】生活費は半分になり、QOLは向上。東京⇒高知移住の実例では、東京から高知県に移住した方の事例で、生活費が約半分になったことが報告されています。
都市部 vs 田舎の生活費比較(月額)
【単身者の場合】
項目 | 都市部(東京) | 田舎(地方) | 差額 |
---|---|---|---|
家賃 | 80,000円 | 20,000円 | -60,000円 |
光熱費 | 8,000円 | 12,000円(※1) | +4,000円 |
食費 | 45,000円 | 30,000円 | -15,000円 |
交通費 | 15,000円 | 12,000円(※2) | -3,000円 |
通信費 | 8,000円 | 10,000円 | +2,000円 |
日用品 | 8,000円 | 10,000円 | +2,000円 |
娯楽費 | 25,000円 | 8,000円 | -17,000円 |
合計 | 189,000円 | 102,000円 | -87,000円 |
※1 プロパンガス・暖房費込み
※2 ガソリン代・車関連費用
項目別詳細分析
住居費:最大の節約効果
削減効果:月額30,000〜50,000円
田舎暮らしで最も大きな節約効果を得られるのが住居費です。
・都市部(東京):ワンルーム 70,000〜100,000円
・田舎:1〜2DK 10,000〜40,000円
あくまでも一例です。東京はそもそも大阪など他の都市部よりも家賃が高額です。
地方では以前は35,000円程度で一軒家が借りられることが多かったですが、ここ数年は値上がり傾向です。それでも自家用車を所有している方などは駐車場代込と考えればとても安く感じるかと思います。
地方都市の家賃はまた別枠で、東京以外の都会よりはちょっと安めくらいに考えておくとよいでしょう。
光熱費:注意が必要な項目
変動:+3,000〜+8,000円(地域により差あり)
意外に思われるかもしれませんが、田舎では光熱費が高くなるケースが多いです。
上がる理由:
・プロパンガス料金(都市ガスの2〜3倍)
・寒冷地の暖房費
・給湯・水道管凍結防止の電気代
実例:
・都市ガス時代:月額8,000円
・プロパンガス:月額15,000円〜20,000円(冬期)
実際に弊社スタッフなどは、薪を使って暖房・調理をしているため、高額なプロパンガスは契約していません。夏場はカセットコンロを併用しているとのことです。
以前の記事にも記載していますが、プロパンガスの会社と契約する際は解約時の内容をよく確認しておきましょう。
リアルな田舎での生活/それでも憧れますか?
食費・外食費:大幅削減の可能性
削減効果:月額10,000〜20,000円
削減できる理由:
・大型スーパーでの安価な買い物
・外食の選択肢が少ない→自炊増加
・地産地消の新鮮な食材
実際の変化:
・都市部:月30,000円以上(外食・コンビニ多用)
・田舎:月20,000円(自炊中心)
お酒を嗜むかどうかでも金額は増減しますが、地元の消防団など各種会合に参加していれば結局飲み会になるので家飲みの回数は減る、とも聞いたことがあります。
田舎でも自炊しなければ、削減どころか増える可能性もあると考えておきましょう。ただし、自炊を頑張れば都会よりはぐっと削減の効果が望めます。
交通費:車関連費用に注意
変動:±0〜+20,000円
田舎ではタクシー代や電車代は不要となりますが、車関連費用が発生します。
新たに必要な費用:
・ガソリン代:月10,000〜15,000円
・車検・保険・税金:月割りで約15,000円
・タイヤ交換(雪国の場合):年20,000〜40,000円
娯楽費:大幅削減
削減効果:月額15,000〜20,000円
削減理由:
・映画館、テーマパークなどの娯楽施設が少ない
・自然を活かした無料レジャーが豊富
・ショッピングの機会減少
お金をかけた娯楽、というものから縁遠くなります。服装も実用的になり、ちょっとしたおしゃれも手作りだったり上手に工夫している方が多い印象です。
節約というよりも、それが理想の暮らし。
わざわざ遠出をしていたキャンプ&バーベキューも、週末に庭で、であれば経済的ですね。
収入面での変化
収入減少は避けられない現実
田舎移住ではほぼ収入は減少します。
一般的な収入変化:
・派遣・パート:70〜80%に減少
・正社員:地域により60〜90%に減少
・最低賃金の差:東京1,163円 → 地方952円〜(高知県の例※2024年)
【厚生労働省】地域別最低賃金の全国一覧
といっても人手不足なのも地方の現状です。長期では雇えなくても、季節、短時間などで欲しい労働力は多く、うまく組み合わせれば収入減の対策に。
収入確保の方法
まずは、以前より安価でもメインの収入を確保しましょう。
1. リモートワーク 都市部の会社でリモートワークを継続することで収入を維持
2. 地域おこし協力隊 (期間)1〜3年 (報酬)年200〜250万円程度 ※住居提供のケースもあり
3. 農業・林業 研修制度充実、補助金制度あり ※初年度から200〜300万円の収入も可能
4. 起業・フリーランス 自身の強みを生かして地域とのつながりからはじめる起業など※地域によっては助成あり
移住前に必要な資金
初期費用の目安
単身者:60〜100万円
・引越し費用:10〜20万円
・住居初期費用:20〜40万円
・車購入(中古):30〜50万円
家族(4人):100〜200万円
・引越し費用:20〜40万円
・住居初期費用:30〜60万円
・車購入:50〜100万円
初期費用は最低限に抑え、住みはじめてからゆっくり生活に合わせて買い足していきましょう。
生活費の備え
最低6ヶ月分の生活費を準備
・単身者:70万円程度
・家族:150万円程度
就職活動や環境適応の期間を考慮し、余裕を持った資金準備が重要です。仕事を決めてから移住の際も、できれば3ヶ月分程度の生活費は準備しておくと安心です。
田舎暮らしのメリット・デメリット

経済面でのメリット
- 固定費大幅削減:特に住居費
- 無料レジャーの充実:自然という娯楽
- ストレス軽減:満員電車、高い家賃からの解放
- 貯金しやすい環境:支出機会の減少
注意すべきデメリット
- 車は必須:維持費が大きな負担
- 冬の光熱費:寒冷地では大幅増
- 医療機関:病院までの距離・交通費
- 教育環境:私立学校が少ない、塾の選択肢限定
家族で移住する際は、子供の教育費や進学の希望、住むところによっては自家用車を複数台所有しなければならないということも念頭に置く必要があります。
それでも家族で移住される方の大半は「子供と過ごす時間」に重点を置かれている方がほとんどです。
そこにいちばんの価値を置くのであれば、田舎暮らしはすばらしい選択になると思います。
成功する田舎暮らしのコツ
1. 段階的な移住
情報収集して移住したい場所の候補が決まれば、その地域がやっているであろう「移住ツアー」や「現地体験」などに参加、体感として住んでみたいと思ったかどうか確認してみてください。ちなみに自治体主体の「移住ツアー」は(当然ですが)いいところしか紹介しないので注意です。でもまずは「いいところ」をしっかり吸収しましょう!
その後夏祭りなど地域住民と交流できるイベントに参加したり、夏と冬、ともに現地を訪問するのも大切。地域の方と知り合いになれると移住への道は前進しやすくなります。
そしていきなり完全移住ではなく、二拠点生活やお試し移住から始めることをおススメ。
2. 地域コミュニティへの参加
・自治会活動
・地域イベント
・農作業手伝い
良好な近所関係は、生活費削減(野菜のおすそ分けなど)にも繋がります。農作業のアルバイトの際には、出荷できない野菜などを持ち帰れたりすることも。但し、地方の地域イベントは歴史あるものが多く、気が付くと隔週ごとにイベントお手伝いがあるときも…。自身が疲弊しないよう、バランスをとることも忘れずに。
3. スキルの活用
都市部で培ったスキルを地方で活かす方法を模索しましょう。
例:
・ITスキル→地域のデジタル化支援
・営業経験→地域商品の販路開拓
・語学力→観光業支援
都会では当たり前の仕事も、地域では歓迎されることがたくさんあります。また「こんなのがあったらいいな」が仕事になることも。
自身の強みをどんどん活かしていきましょう。
田舎暮らし生活費簡易シミュレーター
あなたの場合をシミュレーション
Step 1: 現在の生活費を把握
なにはともあれ、現在の生活費を把握しなければはじまりません!改めて、下記に現在かかっている費用を書き出してみましょう。
・家 賃:_____円
・光熱費:_____円
・食 費:_____円
・交通費:_____円
・娯楽費:_____円
Step 2: 田舎での変化を予測
予測金額が一定ではないので少し乱暴かもしれませんが、この記事を参考に考えてみてください。
・家 賃:▲30,000〜50,000円
・食 費:▲10,000〜20,000円
・交通費:車関連で+10,000〜20,000円
・娯楽費:▲15,000〜20,000円
まとめ

田舎暮らしは工夫次第で生活費を削減できますが、「物価が安いから自動的に安くなる」わけではありません。住居費の大幅削減というメリットがある一方で、車関連費用や光熱費は増加する傾向にあります。
重要なのは、金銭面だけでなく、理想とするライフスタイルを総合的に考慮することです。
生活費が削減できることで、「働き方の選択肢が広がる」「ストレスが軽減される」「家族との時間が増える」といった、お金では測れない価値も得られるのが田舎暮らしの大きな魅力です。
移住を検討されている方は、まず現在の生活費を詳細に把握し、移住先での生活スタイルをできるだけ具体的にイメージして、資金計画を立てることから始めてみてください。
この記事が、あなたの田舎暮らしへの第一歩をサポートできれば幸いです。
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