豊かな自然に囲まれた場所で、心と体を休めながら、自分のペースで暮らす田舎暮らしに憧れ、来る日も来る日もネットで情報を集めている人は意外と少なくありません。
それだけ田舎暮らしには魅力があるのでしょう。

大自然の中できれいな空気を吸って、犬を放し飼いにし、隣近所を気にすることなく庭でバーベキュー三昧!
…こんなイメージでしょうか?

確かに、そんな田舎もあります。
海のある田舎、山のある田舎、どちらも揃っている田舎etc.

しかし、このような『良いイメージだけ』をもって田舎での生活をはじめると、まず間違いなく挫折します。
リアルな田舎暮らしは、残念ながらそんなにいいことばかりではありません!

現実を知って、それでも「田舎暮らしがしたい!」と思えるなら、成功への道は開けてくるでしょう。

私たちおむすビーズは、都会の人材を田舎の人材をつなぐパイプ役として、農業体験・林業体験などの取り組みを行っています。
田舎暮らしを実現したい方のお話を聞き、実際に現地をご案内したり、暮らしを体験してもらいながら地方都市の良さや、デメリットをお伝えしています。
都会に比べて良い面も、悪い面も、納得してもらった上で暮らしを送ってもらえるように、移住前からサポートを行っています。

これまで数百名の相談にのってきましたが、その経験を踏まえ、「憧れ」だけではない田舎暮らしのリアルをお伝えしていきます。

田舎暮らしが失敗しやすいパターン

これまで支援をしてきた中でも、残念ながら田舎での生活が肌に合わず、帰られる方もおられます。「こういう人は失敗しやすい」と私たちが感じていることをお伝えします。

田舎暮らしの目的が「現実逃避」である場合

田舎暮らしを希望する人には、
「現状を変えたい」
「今の生活から脱出できるならなんでもいい」
という少し投げやりになっている方も中にはおられます。

それが悪いとは言いませんが、そのような理由だけで田舎暮らしを始めると失敗する可能性が高いです。
なぜなら、田舎暮らしは想像以上にヘビーだからです。

冒頭でも書いたような大自然の中で…という自由な感じは残念ながら中々ありません。
無人島のような場所なら実現するかもしれませんが、一般的な田舎暮らしは違います。
組内とか、隣組といったご近所との付き合いも都会に比べると濃厚です。

そのため、何かが嫌になって田舎に逃げるような感覚では生活が成り立ちません。
一時的には満足しますが、毎日の生活が嫌になり、結果的に田舎暮らしをやめたくなる方がおられました。

こんな所が不便と言われる5つの理由

元々田舎で育った人なら当たり前に思うことでも、都会で育った人にとっては受け入れられないことが多い田舎暮らしの現実…。
もちろん逆もあります。
田舎の人が都会で暮らす大変さというのでしょうか。
田舎と都会って、そもそも世界が違って常識も違います。

1:近所づきあいが濃く、大変な場合
2:何をするにも移動距離があり都会と比べると不便
3:車移動等に余計なお金がかかることがある
4:虫が多い、時には多すぎる
5:地域との繋がりが濃くプライベートにも影響が出る場合

田舎暮らしを挫折した人から話しを聞くと、言葉では簡単にまとまってしまう「嫌だった理由」ですが、非常に奥が深く、難しい問題を抱えることになります。
特に対人関係で苦労した場合に嫌気がさした。と話される方が多いです。
実際に移住する前には、このような側面があると理解したうえで、田舎暮らしを検討するべきでしょう。
近所づきあいといってもニコニコ笑って挨拶してれば成立するというものではありません。

『村八分』という言葉はご存じでしょうか?

田舎では、良い面も悪い面もすぐに噂が周り、一度悪い噂が回ると住んでいられなくなり、引っ越しを余儀なくされるケースもあります。

田舎=1人での悠々自適な生活ではないことは理解しておいてください。

【体験者の声】働きは絶対参加

実際に田舎暮らしを挫折した方から、「なぜ挫折したのか?」伺ったお話を紹介します。
この方は「働き」という活動が肌に合わずに、挫折したとお話しされていました。

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「働き」という活動をご存知でしょうか?

例えば、組内で不幸があったときなどに数日間に渡り、葬儀等を手伝うことです。
地域によって異なりますが、団子を手作りしたり、竹細工を作ったり、当家のキッチンを我が物顔で仕切り、受付から各種手配、とにかくなんでも手伝います。
場所にもよりますが、私が移住していた田舎ではこの文化が根付いていました。

私もそうでしたが、一般的な都会で暮らしいた人にとって、近所の人が自分の家を自由に動き回ることなど想像すらできませんでした。

そして、この働きに不参加は許されません。
「働き」として手伝う場合、数日間は仕事を休まなければならず、理解がない企業からは「なぜ?」となります。

ほかにも毎月の行事として年配者がお経を唱える日があり、その日は若手の当番がお茶出しのため一日付き添うことになります。
当然ながらこの日も仕事を休まなければいけません。

また、すべての行事には当番があり、集金から買い物、会場設営などを行います。
あくまでも一例ではあり、田舎すべてがこのような暮らし方なのかは断定できませんが、都会とは明らかに違う点があることを理解してから移住した方が良いことは間違いありません。

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田舎暮らしは地域の方から良い意味でも、悪い意味でも、干渉されます。
特に移住者の場合初めは「よそ者扱い」されるので最初が肝心です。

田舎暮らしを実現するために必要なものは何か?

逃避でもなく、憧れでもない、「地に足がついた考え方」が必須です。
田舎暮らしで叶えたい「目的」や「夢」、これらが現実的であればあるほど田舎で生活することは可能です。

田舎暮らしに何を求めているのかが明確であれば、次のステップである『居住する田舎』を厳選という作業に移るってください。

まずは、ネットで情報を調べたうえで、田舎暮らしや移住を専門に扱う団体などに相談する方法もあります。
その田舎にあなたが求めるものがあるのか?
しっかり確認していきましょう。

田舎暮らしはお金がかかるってホント?

都会は物価が高く、田舎はなんでも安い!そう思ってたら、それは大間違いです。
居住している地域や諸々の条件によっても異なりますが、田舎暮らしの方がお金がかかるというのはよく聞く話であり、事実でもあります。
都会と田舎暮らしでは一体どんな違いがあるのでしょう。

大まかには上記、表のような感じです。給料は察しがつくと思いますが、そもそも田舎の給与基準は恐ろしく低いということ。
あくまでも例ですが、中途採用の高卒事務職・30歳の女性が都会で就職した場合にもらえる年収が320万円だとしたら、田舎では年収230万円も普通にあり得るという話な訳です。

もらえるお金が少ないため当然生活は苦しくなります。
現在はリモートワークを推奨している企業が増えているので、田舎暮らしをはじめても仕事は都会基準でということも可能でしょう。

プロパンガスを理解しよう!

そして、ガスは都市ガスしか使ったことがない人にとって、プロパンガスは衝撃かもしれません。
都市ガスなら使い過ぎないように節約する程度の意識しかないでしょう。
しかし田舎暮らしの基本ともいえるプロパンガスは、価格も設備も都市ガスとはまるで違うのです。ある意味プロパンガス業者との戦いを繰り広げることになる場合もあります。

なぜなら価格は業者が自由に設定できるからです。

最初は安くても、契約後少ししてから理由をつけて値上げしてきます。
請求書を見てびっくりするレベルで高いガス料金を払うことになるでしょう。


給湯器などガス機器の設備工事は無料…、
いや縛り付きで実質無料で対応してくれますが、この縛りがクセ者なんです。
大抵は5年~10年契約続行!途中で解約したら設備工事費の〇%を払ってもらいますよ、という契約書が存在します。

なのでガス代を値上げされても解約する方がリスクが高いため、仕方なく払い続けることになるのです。
そのため、プロパンガスしか選びようがない田舎暮らしでは、事前に対応地域の業者をリサーチしたうえで契約するべきです。
価格が高いようなら「いつでも業者を変更するぞ」という意気込みぐらいが丁度いいでしょう。

浄化槽ってなに?

田舎暮らしでさらに驚かされるのが浄化槽です。

都会の人からすれば「浄化槽ってなに?」というレベルでしょう。
都会で当たり前のように使用していた上下水道の下水道部分が、田舎暮らしでは浄化槽で補われることになります。


容量は5人槽とか7人槽という「人槽」で表現されますが、何のことだかさっぱりわからないのが普通です。
「4人家族だけど4人槽?」みたいに思うかもしれませんが、これは同居する家族の人数ではなく、建築基準法による延べ床面積で決まるというもの。
浄化槽を管理する会社と契約し、定期点検及び浄化槽の管理をお願いするので当然お金がかかります。

法律では4ヶ月に1回以上の点検が義務付けられていますので、年に3回で巡回している業者が多いようです。費用は地域や業者によって異なり、汲み取り費用などもかかるため、都会で上下水道料金を支払うのとは金額にしても訳が違います。

車がなければ生活できない

田舎暮らしの場合、車は1家に1台ではなく、1人1台が基本というほど、公共交通機関はあてになりません。
バスや電車は1時間に1本あれば上出来です。
一般的にはそれ以下ですので、車がなければどこにも行けず、自転車というのも無理があります。

都会では贅沢品としてみなされる車が、田舎では必需品となるのです。

そのため田舎暮らしでは、車を維持していくための費用がかかってきます。
都会なら車を持たなくても生活できますが、田舎は車がなければ生活ができませんから、ガソリン代・保険料・車検代などは必要経費になりますね。

ほかにもお金はかかります。
呼び名は地域によっていろいろですが、区費もしくは町内会費、行事の寄付金、町や村独自の集まりで必要な会費(複数あり)など、年間にすると相当かかるでしょう。

それでもしたい田舎暮らし!準備すること4選

いかがでしょう?
ここまで、色々とお話ししてきましたが、特に「田舎暮らしのマイナス面」を受け入れられますか?

それでも実現していきたい!という方に、準備の手順をお伝えしていきます。

情報収集

どの地域に住みたいのか的を絞っていきましょう。
気になる地域があったら情報を集め、該当地域の役場のHPを確認してみることです。
説明会や支援団体の取り組みなどをチェックすることで、田舎暮らしをどの程度バックアップしている自治体なのかがわかります。

物件探し

田舎暮らしでは、家を購入する場合、新築なのか中古物件を探すのか?もしくは賃貸物件を探すケースもあるでしょう。田舎暮らしに強い不動産屋や支援団体など、ネットからも物件情報は調べられます。

気になる物件があったら実際に足を運んで見に行きましょう。

下見

物件の下見と同時に地域の状況を把握しましょう。
ご近所リサーチを行い、どのような人が住んでいるのか?よそ者に対する気持ちや受け入れ方、地域のルールなど細かく聞いてください。

田舎の常識と都会の常識は異なるので、知りたいことはちゃんと質問しましょう。

<失敗例>
Q.ここに住んだら参加しなくちゃいけない行事って何がありますか?
A.総会やお経当番、絶対参加の行事、お金さえ払えば不参加も可の行事などすべて教えてくれた。
 問題点…「働き」が抜けていた。町の人曰く「働きは全国共通だと思ってた」とのこと。

上記、失敗例のように認識の違いもあるので質問は具体的な方がいいでしょう。
ただし、面倒と感じるご近所さんもいるかもしれません。
引っ越してくる可能性と、詳細に地域のルールが知りたい旨を伝えます。

説明役として適任者を紹介してくれることもあるので、チャンスと思って伺いましょう。

その際、引っ越してきた場合どこのお宅へ挨拶回りをした方がいいのか確認しておきます。田舎暮らしは都会と違い両隣で済むことは珍しく、組内や隣組など挨拶する件数が相当数に及ぶこともあるためです。

引っ越し準備

田舎暮らしをスタートさせる地域、物件さえ決まれば後は普通の引っ越し同様に手続きをします。
転出入届など公的手続きを済ませ、ガス・電気・水道・インターネット回線など生活に必要な手続きを忘れずに行いましょう。

ご近所への挨拶回りも忘れずに!

まとめ

田舎の常識は、都会の非常識とも思えることがたくさんあります。
田舎暮らしに期待し過ぎて失敗してしまわないように、事前にデメリットと向き合うことが大切です。
田舎派!都会派!!どちらもメリット・デメリットはありますからね。

新しい生活に不安はつきものですから、移住や就農支援なども含めてその道のプロに相談することが一番かもしれませんよ!

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