林業とは

林業は、森林を経済的に活用しながら木材やその他の林産物(注1)を生産する産業です。樹木を植林、育成、管理し、最終的に木材として収穫するサイクルを繰り返します。また、広義には山菜の採取やきのこの生産、木炭の製造など、森林資源を利用した多様な活動も含まれます。

(注1)林産物とは:木材はもちろん、きのこや山菜、栗などの果実、薬草や樹脂など森林によって得ることができるものの総称

林業のサイクル

林業のサイクルは、簡潔に言うとこのようになります
(参考)林野庁 森林・林業・木材産業の現状と課題

植栽:苗木を植える作業。事前に「地拵え(じごしらえ)」と呼ばれる土壌の準備を行う
育成:下刈り・除伐・間伐など、苗木が成長する過程の管理作業
主伐(伐採):成長した樹木をまとまった量で伐採し、木材として収穫すること
再造林:伐った後、新たな苗木を植えて次世代の森林を育てる

林業の役割と機能

森林には木材など林産物の供給以外にもたくさんの機能があり、それらを健全に機能させるため林業が大きな役割を担っています。

水源の涵養(かんよう)、災害防止

森林は「緑のダム」とも言われます。森林に降り注ぐ雨水は地中へ浸透し、土壌で自然にろ過され地下水として貯留されたり、きれいな水となってゆっくり川へしみ出していきます(水源涵養機能)。表にもある通り、草地に比べて2倍もの浸透能力が研究結果によって証明されています。

同様に、森林が整備されていると「土砂の流出量」にも差があることがわかっています。
荒廃地では1ha当たり年間で307t、耕作地のある山では15t、森林では2t。この数値からもわかるように、土砂災害の防止機能も備えています。

生態系の保護

「生物多様性」という言葉を聞いたことがありますか?
いろいろな生き物が、それぞれの遺伝的な特徴を持ち、さまざまな環境でつながり合いながら生きている状態を指します。この多様性があることで、自然はバランスを保つことができ、人間の暮らしに必要な空気・水・食料などを供給してもらえています(生態系サービス)。

生態系の保全と森林の関係はとても密接で、森林の手入れをしっかりすることで多様な動力物が住みやすい環境になります。日本では、森林の伐採と再生をバランスよく行う持続可能な森林管理が推進されており、その大きな役割を林業が担っています。

地球の環境保全

樹木が光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出してくれていることは皆さん小学校で習ったと思います。
では、樹木1本が吸収してくれる二酸化炭素の量は知っていますか?
そもそも樹木の種類によって吸収する量は違います。スギやヒノキなどの針葉樹は、広葉樹に比べて吸収量がはるかに高く、また11~20年生などの若い樹木の方が吸収量が多いという調査結果資料もあります。

このような前提として、36~40年生のスギ1本が1年間に吸収する二酸化炭素は、8.8kgと推定されています。
具体例だと、人間1人当たりの二酸化炭素排出量が1,764kgと推定(このうち呼吸で排出する二酸化炭素は370kgだそう)、この計算でいくと人間1人が排出する二酸化炭素を吸収するためには、スギが200本必要、ということになりますね。

また手入れしている樹木とそうでない樹木との吸収量の違いもあり、林業などによる森林の管理はここでも必要不可欠です。

レクリエーションや文化

林業とレクリエーションは一見別分野のようですが、実は深くつながっていたりします。
森林の整備で森林を明るく歩きやすくし、計画的な伐採や植林によって美しい景観が維持されれば、結果的に登山や森林浴、里山利用に適した環境を整えることになります。木材の伐採などで出た端材で木工体験や、スギやヒノキ・竹などを使った器や食器・小物など、伝統的な生活用品のワークショップは森林資源を使ったレクリエーションとして、また文化の継承としても近年注目されています。

林業は「木を伐る」ことだけでなく、森林が本来持つ多面的機能を引き出す役割を果たしています。放置すれば弱まる機能を、整備や利用によって維持・強化しているのです。

林業の現場での日常生活

林業の現場での日常生活は、自然との深い関わりの中で営まれています。仕事のリズムは独特で、林業従事者は厳しい環境に挑みながらも、自然と調和した充実した生活を送っています。

1日の流れ

朝は夏場は早朝であったり、チームの場合はまず打合せからはじまったりと、個々の現場によって時間も調整することになります。一旦山の現場へ向かうと作業終了まで戻れないこともあるため、燃料や水分など現場ごとに考慮して準備します。自伐林家などの例外はありますが、林業の作業は2~5人程度のチームで作業をすることが多く、伐採・集材・運搬など役割を決めて効率よく動けるようにしています。必ず日暮れ前には作業を終え、機械のメンテナンスや道具の片付けを行います。

生活の特徴

林業は天候に大きく左右されます。雨や雪、荒天の日には作業が中止になることが多いため、予定が立てにくい一面もあります。主伐の活発な季節は冬、下刈りが大変な夏、など仕事内容で四季の変化を身近に感じながら働ける点が特徴です。

まとめ

林業の現場では、厳しい環境や技術の習得という課題がある一方で、自然の中で働く喜びやチームで協力する楽しさがあります。手入れの行き届いていない山林が「陽の光が地面に届く明るい山林になっていく様を見るとうれしくなる」という声をよく聞きます。自然との共生や持続可能な森林の維持に貢献できる点は、大きなやりがいだと感じます。

林業は「いま」だけでなく、「未来」を育てる仕事です。
あなたの一歩が、次の森を生み出します。

一次産業を体験してみませんか?

ゼロから始める田舎暮らしサイトを運営している株式会社FPI地方創生事業部(通称:おむすビーズ)では年度ごとに短期の田舎暮らし体験・一次産業インターンシップを開催・運営しています

林業体験へのお申込みはこちら

田舎暮らし体験・一次産業インターンシップなら


(参考)
樹種別・林齢別炭素吸収量/森林・林業学習館
森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?/林野庁
一人当たりの二酸化炭素排出量/全国地球温暖化防止活動推進センター


    お問い合わせはこちら
06-6940-0088
受付時間/10:00~17:00
     
お問い合わせはこちら
06-6940-0088
受付時間/10:00~17:00
        インターネットでのお問合せはこちら 

お問い合わせ