原田正さん

居住地:土佐町
年齢:45歳
家族構成:ひとり暮らし
以前の仕事:会社員
現在の仕事:農業

農業インターンシップ9期参加
原田さん掲載の高知新聞記事はこちら


攻めの移住と「スナップえんどう」


「農業は開拓していくフロンティア精神が大切」
と語る原田さん。横浜に住みながら東京で会社員として働いていた当時、突然東日本大震災が東北を襲う。余波は東京にも及び、原田さんの心も大きく揺れ動かした。

現在は土佐に移住し、自然に触れ合いながら自分に誇りを持てる生涯を送れるよう今を大切にしながらスナップエンドウの栽培に夢中になっている。


揺れる日本と自分の心。


いつも通り仕事をしていたその日、いつもとは違うが現実が襲う。東京でも凄まじい揺れを観測した東日本大震災。あまりのパニックに何が起きたか、しばらくわからなかった。次第に、現実を確かめに危機に瀕している東北に行かなければ、という思いが強まった。しかし、長く会社を休む事はできず「会社を辞めるしかない」と。たどり着いた地にあったのは幻では無い凄惨を極める現実だった。日常を崩壊させた地震と希望を流した津波。しばらく、被災地のボランティアに参加する決意をする。

1年程ボランティアを続けると、今までに無かった感情が芽生えた。ボランティア施設は岩手の田園が広がる山間部。周りには畑仕事をする地元の人たちがいて無性にかっこよく見え始めた。憧れに近かったかもしれない。そういう風景を見た事が無かったわけではなかったが、実際にその土地に馴染み始めた頃自分の胸にある気持ちに気付いた。そして「東京に帰ったら、かっこいい農家になろう!」と一次産業の道を探し始めた。


憧れだけでは始まらない現実。


とは言え農業は素人。
何をどう始めればいいか分からず、まず向かったのは東京で開催されていた農業相談会フェア。そこで、「農業をしたい」という思いをぶつけたが返って来た答えは「どこで何を育てたいかわからないと具体的な案も出せない」。至極当然の話だった。そこから、日本各地の農家さんの元で農作業を体験するうちに、昔から好きだったみかんが頭に浮かんだ。

そしてみかんの本場・和歌山の有田みかんの収穫の仕事を紹介してもらった。実際にみかんを収穫しながら学ぶ事は多かった。育て方、みかんの性質、いろいろな食べ方。それに飽き足らず、もう一つの本場・愛媛にも訪れた。そして運命を変える新たな出会いがそこにもあった。

いよいよみかんの収穫も終わり、地元横浜に帰る前日ある島に立ち寄った。そこで畑作業をするおじさんと何気なく会話が始まった。「この島も昔はみかんの名産だったんじゃよ。でもみかんの価格も落ちてしまってね、みかん農家も農地を放置する人が増えてしまったんじゃ。そこで荒れ果てた農地を整備してスナップえんどうの栽培を試したらうまくいって利益も出た。今ではみかんを止めた周りの高齢の農家の人にもやり方を共有して、みんなでまた生き生きと農家を楽しんどるんじゃ」その出会いが運命を大きく変えた。

「なんて素晴らしい野菜なんだ!」と感心した。そして、これがシンクロと呼ばれるものなのか、地元へ帰ってふと農業雑誌「現代農業」を見ているとスナップえんどうの特集が組まれていた。もうこれしかない、とすっかり虜に。早速スナップえんどうの研修を探し、たどり着いたのが今お世話になっているれいほく未来。

高知市の山間部れいほく地域。そこでの研修が始まった。そしてスナップえんどうを一緒に育てさせてもらい、土佐への移住が決まった。さらに勉強するためにスナップえんどうの本場・熊本、鹿児島も訪れた。そこではまた違う本場ならではの栽培方法を学び、再び土佐へ帰るとその栽培方法を採用した。


本場で体験する実体験の大切さ。


実際に移住する人や、移住を考えている、という人が増えている事を感じる原田さん。今では土佐へ移住して3年目となり、地元の人たちにも溶け込んで仕事もプライベートも信頼が築けた。

移住がうまくいく秘訣を尋ねると「実際に田舎暮らしを体験する事が大切だと思いますね。僕の場合はボランティアで岩手の山間部など1年ほど体験し、さらにみかんの収穫を手伝う仕事で和歌山と愛媛の農家さんに住み込みで行ったので、田舎暮らしや農業が実体験できました」と返ってきた。

その延長で本格的な移住となったため、違和感はあまりなかったそうで「都会暮らしが日常になっている人にはカルチャーショックとなる部分も大きいので、自分に合うか合わないかの実体験が大切なんじゃないですかね。」とアドバイスをくれた。

農業に関しては「みかんもスナップえんどうも本場で学べたのが大きかったです」と振り返る。名産と言われる理由はもちろん気候の影響も大きい。しかし、生産性を高める工夫や知恵が栽培方法に盛り込まれている事に気付けたのが今の農業の強みにもなっていると。


フロンティア精神と広がる夢。


「1年目は本当に挑戦の一年でしたね」いきなりハウス栽培を任せてもらい、土佐の地で九州のスナップえんどうのハウス栽培をスタートさせる。この栽培方法に気候が合うのかどうか、病気はどうなのか、1年目は本当に心配事が絶えなかったが収穫できた時は本当の喜びがあった。さらに収穫を増やすには、虫や病気を減らすには、と試行錯誤。「農業はまさしく開拓するということなんだなと思います」

そして、農業のもう一つの魅力はおいしさ。「やっぱり田舎で食べる獲れたての野菜は鮮度が違っておいしいんです。スーパーに並ぶにはどうしても3、4日ほどかかったりしてしまいますからね」。2年目も順調に収穫できたこともあり、これからはますます独自に農業を進めていけるようになった。「これからは畑を増やしたり、元々やりたかったみかんはもちろん、夏はトマトなんかもやっていきたいですね」と夢は広がる。会社員時代とは違う責任感。その対極の経験を通じ「誇りを持って生きる人生、というテーマで今は楽しく農業をしています。」と攻めの移住生活を送る姿にフロンティア精神を感じた。

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