農業インターンシップ16期参加者の感想です。
第16期おむすビーズインターンシップ 研修報告
20代男性 Aさん
3週間のおむすビーズインターンシップを通しての研修報告を行います。まずは全体の感想について。インターンシップ中の生活面に関しては、少なくとも私は特に不満もなく、また大きく体調を崩すこともなく終わらせることができて幸いでした。生活面については何も問題点はありません。次に研修内容についてですが、インターンシップに来る前に予想していたよりも、農業の金銭面に関するシビアな話を多く聞く事ができたのが印象に残った点です。来る前は、単に草抜きやら収穫やらのいろいろな作業を体験するとか、基礎知識や道具の扱い方などを学ぶというのを予想していましたが、多くの研修先、特に企業法人であるれいほく未来からは、農業をするのに必要な諸々にどのくらいの資金が必要になるか、仮に農業人として独立するならばどう収入を確保していくかの、かなり現実的な突っ込んだ話まで聞く事ができ、その点は非常に有意義であったと思います。逆に不満点を述べるならば、研修で行った内容が、日を跨いで同じようなものが多かったという点です。農業という仕事の性質上難しいとは思いますが、やはり3週間に渡る長期のインターンシップなので、もっとバリエーションに富んだ作業を行いたかったと思います。次に研修前後の考えの変化について。研修前後で私の今後の考えについて大きな変化はありません。研修前と変わらず、「土佐町ないし嶺北地域へは移住予定。その中で農業をどの程度生活の柱とするかは未定であるが、そう大きな比重を置く予定はない。多くても兼業農家。」というのが現在の考えです。もちろん実際に移住し、生活をすれば考えに変化が生じてくるかもしれませんが、少なくとも研修で考えに変化は無く、むしろより強固になりました。研修前より既に本を読んで調べていた通りに、実際研修先で話を聞いても、やはりいきなり専業農家として飛び込むのはあまりにリスキーだと言わざるを得ないのは間違いないようです。最後に今後の予定についての話をします。先にも述べた通り、現時点で移住を考えています。実はこの農業インターンの前に、8月の5日間の林業インターンに参加しており、その時点でも移住は考えていたのですが、今回のインターンでその考えと、そこへ至るためのステップをより明確にすることができました。具体的に、まずは住むために必要な住居ですが、これはインターン中に、いくつか頼ってみたいあてを見つける事ができました。不可能ならば高知市内からの、いわゆる二段階移住も選択肢に入りますが、現時点ではそうしなくても住居は手に入るのではないかという好感触を得ています。次に仕事についてですが、これは未定です。しかし移住した際の、最初の間はまず短期のアルバイトをできるだけ多く、そして広範に行いたいと考えています。これは仕事が単なる収入を得る手段というだけでなく、多くの人と知り合い人間関係を結ぶのに手っ取り早い手段だと考えているからです。さてより具体的な直近の予定ですが、インターン後は一旦大阪の自宅に戻ります。その後2月頃までは大阪にいなければなりませんが、その後はすぐにこちらに移って来る事になると思います。2月までにスタートラインの生活資金として100万円前後は用意できると思います。それを最初の軍資金に移住し、仕事をしつつその後の方向性を定めていく予定です。報告は以上です。
第16期おむすビーズインターンシップ 研修報告
20代男性 Bさん
これまでは日立製作所のIT分野の営業として6年半サラリーマンをしてきました。お金を稼ぐためにやっきになり働いてきました。仕事は面白いと感じることはあまりなく、常にお金を稼ぐために働くという感覚でした。休日を楽しみに浪費するような平日を過ごし、お金を稼いで貯金をして少しの安心感を得るような日々を過ぎしてきました。私自身仕事は楽しく行いたいと考えています。楽しく仕事をするには仕事は常にチャレンジするようなもの、クリエイティブなものでなければならないと考えています。仕事を進める際には物事は主体的に考え、工夫し常に新しいものを作っていかなければ楽しくないと思います。また自分一人で実現できる事はたいしたものではなく、同じような「思い」を持った仲間がいなければ大きな仕事は実現できないし、仕事をしていて面白くないのではないかという考えです。残念ながらこれまで私が勤めていた会社にはそのような環境はありませんでした。そして作っていこうと思いましたが実現はできませんでした。都会での事業は「ヒト、モノ、金」にコストがかかりすぎます。どのような事業を立ち上げるにも、かなりの初期投資が必要となりますし、既に隙間産業も埋め尽くされているように感じています。地方には魅力的な人やコミュニティ、土地や地域資源など視点を変えれば利活用できるものがたくさんあると思っています。IT(ネットやSNS)などの新しい技術によってこれから始められるビジネスや事業がたくさんあるのではないかと思っています。加えて都会での暮らしに限界を感じていました。ある程度の給料はいただき不自由ない生活を送ることはできていましたが、会社に生かされているような感覚でした。会社が用意した環境(仕事内容や身につけられるスキル)でしか生きられないという事に漠然とした不安と息苦しさを感じていました。会社もいつ傾くかもしれない状況なので、自分で主体的に稼げる力を身につけたいという思いがありました。上記のような理由から、自分の思っている事が本当なのか確かめたいと思い今回の農業インターンシップに参加させていただきました。
研修先の方々の農業への取り組みを拝見し、農業素人の私が生産方法や生産内容についてモノを申すなんていう事は当然ありませんでしたが、全ての農家さんに共通していると感じたのが、働く人が不足していると感じている事、生産した作物をどのように販売・活用させるのかという点を常に試行錯誤されているという点でした。特に働く人が不足しているという点について興味がわきました。れいほく未来の岡部さんいわく、繁忙期には短期的にバイトとして来てほしいので求人を出しているが時間が合わない(夏野菜の収穫は夜明け前から仕事が始まるためパートさんとはマッチしない)仕事内容がきついので全然人が集まらないとおっしゃられていました。おっしゃられていた内容は農業を志す人はもちろんの事、私みたいに移住を検討しており、まずは地域の仕事や地域の人に関わりたいと考えている人にとっては、とても貴重な機会だと思います。このような情報がシェア、有効活用されていないのはもったいないのではないかと感じています。しかし、このような情報を活用するにはハードルもいくつかあると思います。実際に住んでみて人のつながりができて、初めて手に入る情報もあるでしょうし、いくらバイトといっても毎日バイトがあるとは限らず、また住む場所も確保しなければなりません。そして一人でこのような繋がりやネットワークを作るのには時間も手間もかかると思います。加えて現役の農家さんには怒られるかもしれませんが、農作業は一人でやっていると心が折れます。また農家さんにとってもどこの馬の骨かもわからないような人に仕事を任せられないというお話もお聞きしました。移住のファーストステップとして地域を知る事を目的とした「住まい+地域のバイト情報」を仲間内、地域とシェアできるような空間があってもよいのではないかと考えます。住まいを自分たちで作り、バイトの情報も自分たちが足を使って取ってくる。そして情報を仲間とシェアし仕事が途切れないように回していく。おまけとして移住者が地域の農業の人手不足に一役買うこともできるような仕組みがつくれるのではないかと感じました。もし私が移住をすると決めた際にはまずはファーストステップとしてこのような仕組みを作りたいと考えていますのでバイト情報の提供など、どうぞよろしくお願いします。
最後にこのれいほく地域で先述したような取り組みをしたいと考えるようになったのはこの土地に住む個性的で面白い方々とお会いし、この方々と一緒にこの地域で活動してみたいと感じたからです。はじめこの地域の魅力は「ヒト」と言われても全然ピンときませんでしたが、今ではその言葉の意味が分かります。インターンシップの期間中お世話になりました皆様ありがとうございました。
第16期おむすビーズインターンシップ 研修報告
20代男性 Cさん
私は今回のインターンシップは初めてではない。前回来たときは丁度一年前だった。
一年前と何が違ったか、1つは環境の違い、士気の違いである。環境の違いとは資格や免許、どのような仕事を経てきたかである。前回目標として掲げていた普通自動車免許の取得ができたこと。仕事は一時こそ派遣で1ヶ月ほど行っていた時期があるが、社員さんの圧力的な態度、求める能力についていけず、離職した。そういうこともあり、職に対する意識に距離を置いてしまった。
そんな中、発覚したのが発達障がいの存在である。医者の診断によると、傾向として注意がそれやすい、集中力にムラがある、一人遊びが好き、等、挙げていくとキリが無いがそれらを総合的に判断したうえでADHD6のアスペルガー症候群という診察をもらった。
それから診察をもとに大阪市に申請し、障がい者手帳を交付してもらった。さらに、このような障がい者を対象とした職業訓練施設に入所を決意した。それが研修に来る前の私の来歴である。
研修に来る前は、楽しさ半分、不安半分といった塩梅だった。楽しさはやはり以前お世話になった人とまた会えること、美味しい米が食べられること、新しい研修生はどんな人がいるのだろうといった具合だった。半面、見知らぬ人との集団生活でちゃんとなじむことが出来るのか、障がい者としてけむたがれないかという不安があった。いざ、インターンシップが始まるとその不安は少しずつ溶けていった。仲間たちに自分のことを説明したり、共に生活をするに当たって色んなことを助け合ったりする中で、意外と自分の思っていた問題は考えすぎという結論に至った。
今後の予定や方向性としては、自分に何が出来るかを考え、できないことでも少しずつ出来るようにしていくことが大事だと思っている。農業へは関心があり、農業を教育として教える立場を目指していきたい。
しかし、一般に想像する農業教育者ではなく、自分と同じコミュニケーションに難を持つ発達障がい者を対象とした教育の場である。それも、農を題材にした生命の勉強(教育)をやってみたい。
私は今、就労支援b型に通おうとしている。そこでは、発達障がい者を対象とした施設で企業に従事する前段階で仕事の訓練を行う場所である。これからそこで事務作業の訓練を半年~2年以内の期間をかけて望もうとしている。目標に進むのはそれからである。
改善すべき点は農業塾のテストの改変である。私は今回で二度の研修だが、一回目と内容が変わっておらず、もう少しバリエーションがあれば良いなと感じた。使う写真、問題様式、取り扱う語句の変更等、たくさんあると思う。
他にもおこぜハウス内にあるスリッパの統一である。破損したり、片側しかないスリッパはどうも使い心地が悪い。
全体を通しての感想はやはりれいほく地域の人々はとても温かいし、なんといっても米を筆頭に食べるものが美味い。特に和田農園さんが最たるもので自分を可愛がってもらえた。今回で2度目の研修だったが、次来るときは研修とは別の形でここを訪れてみたい。
第16期おむすビーズインターンシップ 研修報告
20代男性 Dさん
私はもともと食や農業に興味があり、この農業インターンシップに参加しました。皆様が温かく迎えてくださり、充実した21日間になりました。あっという間に日々が過ぎていき、貴重な体験をすることが出来ました。
田舎暮らしにはあまり経験がなかったのですが、自然に囲まれた生活はとても癒されました。様々な体験談や農業の大変さを聞かせていただけたり、収穫体験で一部でも自分が携わったものを食べるとよりおいしく感じました。ゆずやサツマイモを大量に頂けたので、様々な料理に加工できて勉強になりました。
メジャーな調理方法で食べたり、オリジナルの料理としてスコーンに入れて紅茶と一緒に美味しく頂いたりなど、同じ食材を使っても調理次第で結果が変わって、工夫するのが楽しかった。オリジナル料理を作ってみて、収穫したものに自分の発想力を加えて付加価値がつくように加工して売り出す6次産業にも興味が出てきました。
土佐の研修で印象的だったのが百姓は百のことができるから百姓なのだという話で、話の通り独立農家で農業専門でやっている人は稀で、林業をしたり、狩猟が出来たり、地域で協力して家を建てていたり、なんでも挑戦しているのが印象的でした。
話を聞かせていただいた移住者の人たちをも自力で山中に農地を切り開いていたり、家を建てたり、こだわって循環型の生活を実現している人もいて、色々なことに挑戦していて感動しました。
都会などの人口密集地では、少しでも騒音をたてたりすると周りに迷惑なので、隣に住んでる人の迷惑にならないように、いないふりでもするかのように静かに生活するのですが、隣の家がかなり離れている田舎暮らしは自分で責任が取れる範囲で、自由に生活させて貰えて素晴らしいと思いました。
見学した移住者宅に自作のピザ窯があったので、将来マネしてつくってみたいと思います。
農業法人のレイホク未来さんの研修では、実った作物の収穫を体験できただけでなく、セルトレイへの播種をさせてもらいながら植物の種類によって同じ植物の種でも販売会社ンによって種の状態が違うことなどを教えていただき勉強になりました。
ハウスの中にいる害虫の天敵になる虫やカビを使った生物農薬を使って農薬の使用量を減らしつつ、作物の生育コストを下げようとする試みを、見せていただいたときは驚きました。知識としては生物農薬のことは知っていたのですが、虫が湧いたら即農薬散布という長い農家の伝統を我慢して、新しいことに変えられるのは素晴らしいことだと思います。
生物農薬の方法が日本中に広がればいいと思いました。
スナックエンドウは九州地方の作り方でやっていたりと他の地方の作り方を取り入れていたり、試験農場でパクチーなどの流行りの野菜にも果敢にチャレンジしていて、向上心がすごいと思いました。
人間が食べるための農作物の他に、家畜用にカンナという農作物を栽培して、細かく砕いてサイレージ化することで家畜の生産コストを減らすなどの工夫を見せていただいたり、それを食べて立派に育つ土佐牛の牛舎や、その品評会を見せていただいて、景品として持って帰った土佐牛の肉は大変美味しかったです。
農業経験を終えて、農業や林業、狩猟をしたいという気持ちが一層強くなりました。
やってみたいと悩んでいる人にぜひこのインターンシップをオススメしたいと思える体験が出来ました。
第16期おむすビーズインターンシップ 研修報告
20代男性 Eさん
私が農業インターンシップに参加させて頂いた理由は、現在住んでいる大阪府豊中市近辺のほとんど住宅街のなかでなにも整備されていない空き地や使われていない小さい畑を利用した小規模の農業をやってみると面白いんじゃないかという想いがあり、実際に農業を生業にされている農家さんが野菜を生産出荷するまでの体験、流通の仕組みや生産者としての思いなど聞ければと思ったので参加させて頂きました。
農家さんのイメージとしてあったのが畑を耕し種をまいて水をやり実がなって収穫するという流れだけの仕事だと思っていました。実際には出荷までの間が大変で害虫の対策や気候の変化に合わせて作業を変えたり、出来た作物を卸す農業組合によって規格や価格の違いもあったり現場でしか分からない部分が知れて農業に対して関心は深まりました。
時期的に収穫のお手伝いをさせて頂く研修が多かったのですが、収穫時に野菜の脆さを知りかなり繊細で神経の使う作業でした。
研修の最終日にはビニールハウスの中で焼き肉用レタスのサンチュやチンゲンサイの種まきを体験させて頂きました。ハウス内は太陽が照り付けて、害虫が入らないように扉も開けっ放しもできないのでサウナ状態での辛い作業でした。農家さんはこれが当たり前で夏にはもっと過酷な状況で作業されていることを考えると、改めて農家さんの凄さを感じました。
一方で農家さんのお話を聞くにつれて自分が考えていた構想は不可能ではないですが、制度や金銭的にも難しいのではないかと思うようになりました。ある移住してこられた方のお話を聞かせて頂いたときに「若い人にもっと来て新しいことを始めてほしい」と仰っていました。都会に比べて土地がかなり安いのも田舎の魅力であるし、田舎だからこそ都会で出来ないチャレンジが出来ると思いました。
移住して来られた方は自分の生活空間を開拓していき、都会の生活からすると不自由に感じていることも土佐町に来ると特別に不自由な事ではないと実感しましたし、家族や仲間と協力して充実した生活を送られていました。
現在住んでいる豊中市は住みやすいですし欲しい物がすぐに手に入り、受けたいサービスがすぐ受けられる豊かさがあります。一方、土佐れいほく地方にも自然に囲まれ水が綺麗で全く違う豊かさがあって、都会とは違う土佐れいほく地方の価値観を持つ事ができて住みやすい街だと自分自身も実感しました。
今回の研修でお世話になったゆず農家の西村さんのゆず畑へ向かう道中に何棟も牛舎が立っており、こちらに来て赤牛を初めて知り関心があったので一度牛舎の中を見てみたいと思いました。後日、休みを利用して午前中だけ西村さんのゆず畑で収穫のお手伝いをして、ゆず収穫後の夕がた頃から牛舎にお邪魔させて頂きました。その際れいほく未来の方に畜産農家の川井畜産へ連絡を取って頂きまして赤牛のエサやりや、牛が寝るときに汚れないようにおがくずを撒く作業、未熟児で生まれてきた仔牛に人工ミルクをやったり、色々な体験をさせて頂きました。当日、急にお願いしたにも関わらず快く受け入れて下さった川井畜産さん、れいほく未来の片岡さんにはたいへんお世話になりました。
他の休日にはおこぜハウスの近くを散歩することが多かったんですが、近所の畑で作業されてる方を見かけると挨拶がてら野菜について質問すると快く答えてくれ、帰り際にはたくさん野菜を頂くこともありました。
おこぜハウスでの共同生活は最初は不安はありましたが、他の研修生のみんなが農業に対して意識を高く持っている人たちだったので自分も遅れをとらないように積極的に行動出来たと思います。この16期のメンバーで良かったです。
これから大阪に帰って、野菜の生産を生業にしていけるかは分かりませんが、家庭菜園などでずっと土を触っていくと思います。
この3週間貴重な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました。