知らないと損をする?農業次世代人材投資事業【準備型】【経営開始型】とは…? 45歳以上で就農は厳しいのか?
1.農業次世代人材投資事業について | 2.これから農業を始めようとお考えの方に |
3.新規就農までの流れ(例) | 4.研修中の所得を確保したい! |
5.経営を始めて間もない時期の所得を確保したい! | 6.「一農ネット」とは? |
7.就農時45歳以上の場合受けられる支援は? |
農業次世代人材投資事業について
農業次世代人材投資事業とは国が行う就農支援制度です。
【準備型】と【経営開始型】があり、準備型は就農前の準備段階、いわゆる研修期間に受けられる支援、経営開始型は就農直後の経営確立を支援する制度となっています。
どちらも就農時45歳以下ということと、交付要件が細かく複数定められていますが、本気で農業を仕事にしようと考えている方にとってはそれほど難しい条件ではないようです。
また、45歳以上だと国からの就農支援はないものの、各都道府県・市町村により受けられる就農支援制度はあるので、こちらも地域を選べば支援を受けながら新規就農を目指すことができます。
これから農業を始めようとお考えの方に
最近は実家が農家でなくても新規就農を目指す若者が増えて来ています。
「農業という世界に参入したい!」けれど、農業だけで生活していくことは可能だろうか…?
実際に農業だけで食べていくのは簡単なことではありません。
収入面の理由だけではないですが、繁忙期は農業に専念し、閑散期に他の一次産業や別の仕事を併せ持ち、
兼業農家として働く農家さんは多くおられます。
もちろん、専業農家でやっていくことが不可能なわけでもありませんし、儲かっている農家さんもいます。
ただ、それは簡単ではない。と思っておいた方がいいでしょう。
新規就農を本気で考えている方なら、ある程度将来のビジョンを描かれているかもしれません。
それでも、自分の農業を確立するまでの期間、研修期間、就農直後の収入に不安を感じる方は多いのではないでしょうか?
そんな時に役立ちそうな就農支援制度があります。
国が行う就農支援制度はご存知でしょうか?もしご存知でなければ一度目を通してみてください。
新規就農までの流れ(例)
上の図は一例ではありますが、新規で就農するためには1年~2年程度の研修期間を持ち、
研修生として農業を学ぶことが一般的です。中には研修期間5年という方もおられるようです。
就農相談時にご自身がどのような形で就農したいのか、しっかりと伝えておくようにしましょう。
研修中の所得を確保したい!
農業研修生の給料ってどれくらい?
研修先の農家さんによって変わるものなので、一概には言えませんが、
月給目安としては8~15万円程度が多いそうです。
ここに社会保険が完備されているのか、交通費の有無、住居施設の有無、
ボーナスはあるのか?等の詳細が重要になってきます。
[農業人材力強化総合対策事業]-農業次世代人材投資事業-
これは今回ご紹介する、国が行っている就農支援です。
【準備型】と【経営開始型】があり、これから農業を始めたいと考えている方にとっては、非常に有用な支援制度です。
研修中の収入があまりにも低いようであれば、一度こちらの支援を受けることができないか相談してみましょう。
まずは詳しい内容をご覧ください。
【準備型】
就農前の研修を後押しする就農準備段階での支援制度があります。
・年間150万円、最長2年間
(特例として、国内での2年間の研修に加え、将来の営農ビジョンとの関連性が認められて海外研修を行う場合は、交付期間を1年間延長できる。)
<交付条件>
●原則として就農予定時の年齢が45歳未満の方
●都道府県が認める研修機関、都道府県農業大学校や都道府県が指定する先進農家・先進農業法人などで1年以上研修する方。(1年につき概ね1,200時間以上)
●独立・自営、雇用、親元での就農のどれかをを目指すこと。
●研修終了後1年以内及び交付期間の1.5倍(最低でも2年)以上就農すること。
●研修終了後、独立・自営就農する場合は就農から5年以内に※1認定新規就農者等になること。
●親元就農の場合、5年以内に経営を継承するか、農業法人の共同経営者になる方
●常勤の雇用契約を締結していないこと
●生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国からの支援を重複して受けていないこと
●原則として「一農ネット」(月2回ほどのメルマガ)に加入すること
注意:以下の場合は返還となります。
① 適切な研修をおこなっていない
② 研修終了後、1年以内に就農しなかった場合
③ 交付期間の1.5倍(最低2年間)、就農を継続しない場合
経営を始めて間もない時期の所得を確保したい!
【経営開始型】
就農直後の経営確立を支援する制度があります。
・年間最大150万円、最長5年間
〇資金交付金額は所得に応じて変動
前年の所得が100万円未満 → 交付金額は 150万円/年
前年の所得が100万円以上350万円未満
→ 交付金額=(350万円-前年の所得)×3 / 5
<交付条件>
●就農時、原則として45歳未満で※1認定新規就農者であること
●独立・自営就農であること。
・親からの経営継承や、親の経営から独立した部門経営を行う場合も対象
・農地が親族からの貸借が過半である場合、交付期間中に所有権を移転すること
・交付終了後、交付期間と同期間以上営農を継続すること
●青年等就農計画等が以下の基準に適合している事
・独立・自営就農5年後には農業で生計が成り立つ実現可能な計画であること。
(自らの清算に係る農産物を使った関連事業も含みます。農家民宿・加工品製造・直接販売・農家レストラン等)
●農家子弟の場合は、新規参入者と同等の経営リスクを負うと市町村長に認められること
(新たな作目の導入や経営の多角化など)
●※2人・農地プランに位置づけられている、もしくは位置づけられることが確実な事、または農地中間管理機構から農地を借り受けていること
●園芸施設共済の引受対象となる施設を所有する場合は、園芸施設共済等に加入している、または加入することが確実と見込まれること
●生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国からの支援を重複して受けていないこと
●就農後の総所得(本資金以外)が350万円未満の方
●原則として「一農ネット」(月2回ほどのメルマガ)に加入すること
注意:以下の場合は返還となります
① 適切な農業活動を行っていない場合
② 交付終了後、交付期間と同期間の営農を継続しない場合
※1 認定新規就農者とは?
新たに農業経営を営もうとする青年等であって、市町村から自らの農業経営の目標などを記した「青年等就農計画」の認定を受けた方のこと。
<認定の流れ>
新規就農者自らが「青年等就農計画」を作成→市町村へ申請→市町村が認定
※2 人・農地プランとは?
力強い農業を実現するために、各地域において話合いを行い、集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための「未来の設計図」のようなもの。
「一農ネット」とは?
青年新規就農者ネットワークのことで、月に2回ほど配信のメルマガのようなもの。
こちらは就農支援【準備型】【経営開始型】のどちらの交付要件にも含まれる条件です。
実際にこの準備型、もしくは経営開始型の支援を受けながら就農活動されている方達へのアンケート結果で、
準備型資金の使い方や、現在農業所得(経営開始型資金は除く)で生計が成り立っていますか?などという質問があり、面白いと言うと語弊があるかもしれませんが、興味深い内容となっていますのでよければご覧ください。
○一農ネットアンケート(農林水産省)はこちらからご覧いただけます。
こちらの青年新規就農者ネットワーク「一農ネット」は就農を希望する方、それを応援する方等、誰でも登録できるそうです。
就農時45歳以上の場合受けられる支援は?
実際におむすビーズのインターンシップも45歳以上の方からのお問合わせは多く、
60歳前後の方でも一次産業への就業を真剣に考えて、インターンシップへの参加を希望されることがよくあります。
では、実際に45歳以上で受けられる支援などはあるのでしょうか?
残念ながら今の所、国からの就農支援は無いようです…。
しかし!各都道府県・市町村からは、就農や移住支援を受けられる地域はあるようです。
例えば、高知県高知市では15~65歳就農希望者の農家研修(2年間)に15万円/月を助成する支援事業があります。
このような、中国・四国地方の自治体就農支援をまとめたものがあります。
市町村の支援制度、支援の仕組みや成果、支援メニュー等が載っていますのでご参考までに。
※こちらの情報は平成27年度11月、12月時点でのものですので、現時点での制度に変わりがないかどうかは確認する必要があります。
中国・四国管内自治体(市町)における 新規就農支援事例(農林水産省)
いかがでしたでしょうか?
こういった支援情報を知ることで、困った時の1つの選択肢となるかと思います。
次世代の農業担い手さんが”良き農園ライフ”を過ごせますように!