自然の中で学ぶ「林業体験・林業インターンシップ」
森の中が落ち着くので山で仕事がしたいと思った時、また具体的に林業に興味が湧いた時、まず考えることと言えば「自分に本当に林業ができるのか?」これに尽きると思います。特に会社勤めだったり、都会暮らしであったりすればなおのこと。体力面、経済面、必要な資格など不安だらけです。
そんなときに林業体験・林業インターンシップに参加するという選択肢があることをご存じですか?
林業と呼ばれる仕事とは?
林業と言えば、山で木を育て、管理し、その木を伐採して売る…そんなイメージかと思います。そのため「林業で働く」と考えるとき、チェーンソーで木を伐る姿を想像してしまい二の足を踏む、なんてこともあるかもしれません。
木を伐る以外の林業
では木を伐る以外にどんな仕事があるでしょうか。どんな仕事もチームワークです。木を伐るまでの計画や書類の作成、経費の計算、販売先の模索、チェーンソーで木を伐る以外にもやることはたくさんあります。そしてそれも「林業」の仕事です。
特用林産物を生産する林業
木材以外の山で収穫できるもののことを特用林産物と呼びます。例えば、きのこや山菜、栗、わさび、うるしや竹材など。木材から派生した薪や木炭なども特用林産物に含まれます。実は、これらを生産する仕事も「林業」です。
林業経営体の種類
現在日本で主に木を伐る林業を経営している事業体は大きく4つに分類されます。
自伐林業
自身が所有する山、もしくは賃貸する山を整備し、またその木材を出荷して収入を得る林業です。以前はほとんどがこの自立経営型林業でした。現在は保育作業が中心となっており、主伐をすることは少なくなっています。
自伐型林業
自伐林業のようで、少し違う意味合いのある自伐「型」林業。近年言われはじめた林業経営方式です。山を所有しないで山主さんから山を預かったり、部分的に依頼されたりして営むことが多く、大規模な伐採(皆伐)は行わない、木材以外の森林資源も活用して経営を持続させる「小さな林業」とも呼ばれたりしています。
森林組合
森林所有者の共同組織で、組合員である森林所有者の山の施業を受託して事業を行っている事業体のことを言います。全国の組合員数は約152万人(2016年統計)で、日本の私有林全体の3分の2は、森林組合員が所有しているという計算になります。植林・下刈り・間伐等の森林整備が事業の中心を担っていることが特徴です。
民間事業体
森林組合同様森林所有者からの受託もしくは立木買いで事業を行っています。民間の事業体であるからには、例え依頼があっても採算が取れないものは受託まで至りません。そのため、いわゆる主伐を行っている割合が最も高い事業体となります。
林業の体験、どれに参加する?
ここまでで、なんとなく自分のやりたい林業がどこにあるか、何をやってみたいかイメージが湧きましたか?
それではここからは林業の体験の種類を紹介します。
1日林業体験
日帰りの林業体験も多く開催されています。が、内容に結構違いがありますので要注意!間伐や重機の操作体験など林業現場の体験と、森林のりラックス効果、木工体験などがプログラムになっているものもあります。林業という職業に興味があるのか、それとも森林でリフレッシュしたいのか、よく考えて参加してくださいね。日帰り体験なので、筆者としては両方に参加するのもおススメ。違う視点で見る森林も興味深いものがあります。
林業体験2日~5日間
宿泊をともなう林業体験では、より就業後が具体的にわかるよう現場の見学や林業家さんとの交流会などが組まれていることが多いです。参加後の就業サポートなどもあり、林業の仕事への理解がさらに深まります。1日体験では重機をさわる程度しかできなかったものが、実際に木材を持ち上げるまでを体験できるイメージです。
林業体験・林業インターンシップ6日~20日間
こちらは期間内で林業に使える資格の取得なども組み込まれた、体験というよりは研修に近いものとなります。座学などを通して林業の現状、安全面について学び、実際に現場で林業機械を動かしてみる、ミスマッチを防ぐためにも最終的に林業への仕事を決める前にはぜひ参加してもらいたいと筆者個人は考えています。
森林ボランティア活動
実際に仕事にするよりも、山の中でリラックスしたい、もしくはまだ仕事にするか迷っている…そんな方には森林ボランティア活動がおススメです。里山保全の活動をしているところや、実際に山主さんと話し合って進めているところ、農作物の収穫や木工制作もしているところなど、場所によっていろいろなカラーがあります。
林業を体験する際の注意事項
服装
例えどんな体験で山に入るとしても、動きやすく汚れてもよい服装を選びましょう。長袖・長ズボン、作業手袋、タオルは必須です。靴が悩むところですが、トレッキングシューズ・安全靴・長靴など主催側に確認を取って準備しましょう。足カバーがあるとダニがズボンの裾から入り込むことを予防できて重宝します。また、山の中では目立つようになるべく明るい色の服装を心掛けるのも良いでしょう。
持ち物
飲み物やお弁当が必要であれば忘れないようにしましょう。夏場なら虫よけスプレー、手洗い場がなさそうならウェットティッシュなどあると便利です。また山でお昼を食べる場合は椅子などありません、レジャーシート…はかさばるので、私は45ℓのごみ袋を1枚持っていきます。雨が降れば荷物を入れたりでき、いろいろな用途に使えます。
無理をしない
体験では、ほかの参加者と一緒に行動することがほとんどです。つい気を遣って、体調が悪くなったり体力的にしんどくなっても言い出しづらいこともあるかもしれません。ほかの人は出来てるのに、、、と考えず、自分がどこまでできるのかを確認することが体験の意義です。無理は絶対にしないこと!当日までに体調を整えて参加することも大切です。
林業体験・林業インターンシップ
さてここで、当サイトが企画運営している林業体験と林業インターンシップを紹介します。
林業体験(2泊3日)
初日は森林組合、2日目は自伐林家さん、3日目は毎回お楽しみ(最近は製材所と木工体験が多いです)とおおまかなスケジュールだけは固定ですが、内容はその時によって変わります。
これは林業インターンシップでも同じで、参加される方の事前アンケートや要望にできるだけ合わせてコーディネートするようにつとめています。過去には、ノコギリで間伐体験、まき割り体験、ワナの仕掛け体験、重機・林内作業車操作体験、製材体験、竹林整備体験、などを組み込みました。
林業インターンシップ(6泊7日)
林業インターンシップでは、期間中にチェーンソーの講習を修了します。土場でしっかり操作を練習した後は、実際に山の中で伐倒してもらいます。実際に山で伐ると、そもそも斜面から見て平行とは?となったり、地面だけでなく木の上方も確認しなければ思うように倒れない、ということが実体験として学べ、実りは大きいです。
こちらは希望があれば期間中に空き家見学、地域見学もできます。
参加者は全員同じ宿泊施設で、みんなで買い出しをし、調理して、片づけます。女性スタッフが同じ宿舎で一緒に過ごしますので、女性ひとりでも安心してご参加ください。料理なんてしたことない、という方も、できることからで大丈夫です!
また林業体験・林業インターンシップ双方の交流会では、ずっと林業一筋のレジェンドや、最近会社員から林業はじめました、という方までいろいろな方をお呼びしています。きっといい出会いがあると思いますよ。
まとめ
以前と比べて、「林業体験」が多くの団体で開催されるようになりました。どうしても林業には危険という言葉がつきまとうため、林業体験でも安全にできることは限られ、つい見学に片寄りがちです。
もし、その「体験」が物足りないと感じたら、また一歩、もっと興味が出てきたらまた一歩、そうして少しずつ経験を重ねてもらえれば幸いです。
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